国際生活機能分類(ICF)とは―を更に噛み砕いてみました

国際生活機能分類(ICF)とは、身体機能のみならず、社会参加や活動をも視野に入れ、障害や病気という負の側面だけではなく、前向きに中立的に人間を理解するためのものです。

つまり、「障害(変調または病気)があるから○○できないね」というのではなく、「これがあったら○○できるね」、「こうしたら○○できるね」という視点で課題を整理するための概念です。

国際生活機能分類(ICF)

国際生活機能分類(ICF)の図

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「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版)厚生労働省を基に
ダールベックネットワークスが加筆・編集して作成

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

この図は クリエイティブ・コモンズ 表示 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。
などと難しいことを書きましたが、基本的には自由にお使いください。

ひとつ例を挙げてみましょう。

私はフランス人のミシェル(青い目の美女)に恋をしました。さぁ、どうしたら彼女に気持ちが伝えられるでしょうか。この問題をICFに照らして考えてみましょう。

  • 健康状態:恋に落ちました
  • 環境因子:ミシェルはフランス語しか理解できません
  • 個人因子:フランス語を勉強したことがありません
  • 身体機能・構造:フランス語が解りません
  • 活動:フランス語が喋れません
  • 参加:彼女に好きと伝えられません

さて、どうしたら気持ちを伝えられるでしょうか?

  • 健康状態:恋のパワーを増幅させましょう!
  • 環境因子:翻訳蒟蒻を探しましょう!
  • 個人因子:フランス語を猛勉強しましょう!
  • 身体機能・構造:聞き流すだけでフランス語を身につけましょう!
  • 活動:フランス語が出来なくても気持ちを伝える方法を考えましょう!
  • 参加:ジュテーム!(`・ω・´)キリッ

はい、無事伝えられましたね?

ここで気になるのが、矢印です。例えば、上の例ですと、翻訳蒟蒻という環境を整えることにより、フランス語が出来ない身体機能を補い、フランス語が出来なくても気持ちを伝えるという活動が可能になり、気持ちを伝える参加に繋がります。同様に、恋のパワーという健康状態を増幅させることで、たとえ身体機能が改善しなくても、身振り手振りという代替機能で気持ちを伝えることが出来るようになるかもしれません。

このように、全ての要素が相互に関係していると考え、その関係性や効果を考えて、多面的にアプローチしていくのです。

さて、ミシェルの答えが気になりますが、もう少しマシな例を挙げます。

親戚の集まりなどに行くと、「認知症になったら施設だね~」などと、安易な話を聞きます。これは、家で暮らしたい、畳(自分のベッド?)の上で死にたいが、「家族に迷惑をかけてしまう」、「ヘルパーさんを24時間お願いするお金もない」ということなのでしょう。

この問題をICFに照らして考えてみましょう。

  • 健康状態:認知症になってしまいました
  • 環境因子:息子夫婦など家族は仕事をしていて週5日外出しています
  • 個人因子:かなりのご高齢です
  • 身体機能・構造:記憶障害などがあります
  • 活動:生活を自分で組み立てることができません
  • 参加:家族の中で生活できません

「これでは生活できませんね。施設で暮らしましょう。」という結論になってしまうわけです。

しかし、ここからがICFの本領発揮。それぞれに、どうしたら「できる」かを考えていくのです。

  • 健康状態:認知症の周辺症状を少しでも改善するようにリハビリなど日中活動をしましょう
  • 環境因子:家族は仕事をしていて週5日外出しているので、介護保険を使ってヘルパーさんに入ってもらいましょう
  • 個人因子:かなりのご高齢ですが時は戻せませんが・・・
  • 身体機能・構造:記憶障害は改善できないかもしれませんが・・・
  • 活動:生活の節目節目でヘルパーさんをお願いしたり、おいしい配食サービスを探しましょう
  • 参加:家族の中で生活できるようになりました!

となるわけです。改善可能なポイントへ、多面的にアプローチすることで、結果家族の中で、住み慣れた環境で生活を続けることが可能になります。

こんな例は現実的ではない。寝言は寝て言えと怒られるかもしれません。もちろんこんなに単純ではありません。でも、専門職は「寝言」と言ってはいけません。「在宅で暮らしたい」それがご本人の意思であるならば。

2013-12-20 追記

この記事は、可能な限り分かり易くするため、社会福祉士の視点から、誤解を恐れず、ケースを滑稽化、単純化しました。ニーズのある当事者との関わりにおいて、ケースや支援者の関わり方、職種などによっては、「参加」だけではなく、他の要素をゴールにすることも当然あります。

例えば外科の医師は「身体機能・身体構造」に目標を設定するケースがありますし、リハビリテーション科の医師は活動に目標を設定するケースがあります。つまり本文中でも書いたように、全ての要素が相互に関係していると考え、その関係性や効果を考えて、多面的にアプローチしていくということを確認のため追記しておきます。